放射能をめぐる論戦 2011 7 24

書名 原発事故、放射能、ケンカ対談
著者 副島 隆彦  武田 邦彦  幻冬舎

 「ケンカ対談」という企画は実におもしろいと思います。
まったく意見が違う人たちが議論を戦わせるというのは、
テレビ番組では、よくありますが、
たいていは、「子供のケンカ」のようになってしまい、
うんざりしてしまいますが(もちろん娯楽番組としては成功)、
今回の場合は、知識人同士の戦いですので、
「論戦」という形になっています。
 副島氏は、国際情勢の著作が多いので、
このような企画は意外感がありますが、
もともと副島氏は、書斎派ではなく「行動する評論家」でもあります。
 今回の対談は、副島氏に軍配を上げたいと思います。
武田先生は、かつて「偽善エネルギー」という本を書いた時のような、
歯切れのよさが、今回は、ないと感じます。
 私は、国際情勢に関しては、副島氏とは見解が異なります。
それは、私が国際情勢を
「信教の自由」と「民主主義」という視点で見ているからです。
私は、この二つを、21世紀において最も重要な価値観であると考えています。
 ただ、今回の対談では、
私は、副島氏に賛成します。
 さて、この本から、引用します。
以下は、引用となります。
(副島) 
3月15日に2号機の地下の圧力抑制室での爆発があって、これが重大でした。
その4日後の19日に、私は原発のそばまで行き、
放射線量を測り写真を撮りました。
その10日後の3月28、29、30日には原発の正面玄関まで行きました。
そのとき正面玄関(正面ゲート)から4号機の手前の集中核廃棄物処理施設が見えました。
管理棟の反対側ですけれども、
核廃棄物というか汚染水の処理タンクがあるんです。
それは見えたんですよ、正面ゲートから。
だから、4号機から500メートルぐらいだと思うんですけどね。
そこで測っときに、860マイクロシーベルト毎時(860μSv/h)あったんですよ。
それで、それが3月28日。
で、次の日も測ったのです。
この後、正面玄関からぐるっと原発の施設を回りこんで、
2キロのところがありまして、5号機が見えたんですよ、きれいに。
これは汚れていません。きれいな建屋です。
そこが3月28日には、70マイクロシーベルト毎時ぐらいあった。
2キロも離れると、それぐらい落ちる。
そうすると、さらにですね、2週間経った4月12日に、
同じ正面玄関で、127マイクロシーベルトでした。
2週間で、だから860から127まで落ちているわけですね。
再び同じ2キロ弱の5号機が見える西門の近くでは、
3月29日に測ったときは、70マイクロシーベルトだったのが、
2週間後の4月12日には、もう20マイクロシーベルトでした。
(以上、引用)

Sv mSv μSv 2011 3 27

1Sv = 1,000mSv = 1,000,000μSv
(Svはシーベルト mSvはミリシーベルト μSvはマイクロシーベルト)

 放射線は、目に見ないので、
日本だけでなく、世界各国においても、不安は募るでしょうが、
これは、感覚で判断するのではなく、数字で判断すべきです。
昨日(3月26日)の東京における環境放射能水準調査では、
約0.12μSv/hでした。
この数字からわかることは、そんなに神経質になる必要はないということです。
 ちなみに、タバコを吸うと、被曝します。
どのくらいの放射線量かについては、諸説ありますが、
ウィキペディアによれば、
1日1.5箱のタバコを吸う人の年間の線量は、13mSvから60mSvです。
(タバコの葉に含まれる、ラジウム226、鉛210、ポロニウム210などからの放射線)
タバコを吸う人は、現在の日本の放射線量について、
とやかく言う資格はないかもしれません。
周囲の人に放射線をばら撒かないように、早めに禁煙した方がよいでしょう。

放射線量 2011 3 27

書名 最新 ヒトの遺伝の基本と仕組み
著者 賀藤 一示ほか  秀和システム

 この本は、数年前にも紹介しましたが、
放射線量についても記述がありますので、
もう一度、取り上げます。
153ページ「自然放射線は浴びても大丈夫?」から

「急性放射線障害が発生する線量」
途中、省略
3Sv 発熱・感染・出血・脱毛・子宮が不妊になる
2Sv 倦怠・疲労感、白血球数低下、睾丸が不妊になる
1Sv 吐き気などの「放射線病」
250mSv 胎児の奇形発生(妊娠14日〜18日)
〜20mSv これ以下の被爆では放射線障害の臨床的知見はない

「低線量放射線」
50mSv 原子力施設で働く人たちへの規準(年間)
10mSv ガラパリ(ブラジル)の人が年間に受ける自然の放射線量
0.6mSv 1回の胃のX線診断で受ける量

「自然放射線」
4.4mSv (医療検診も含めて)日本人が1年間に受ける平均の放射線量
2.4mSv 日本人が1年間に自然から受ける平均の放射線量
1.0mSv 原子力施設の公衆への規準(年間)
0.2mSv 成田・ニューヨーク間の片道飛行で宇宙線から浴びる量

(注意)
 ここで注意が必要なことは、理科が苦手な人は、
数値や単位を読まないで、文章だけ読んでパニックになってしまうことです。
(これが理科が苦手となる原因です)
1Sv=1000mSv Sv(シーベルト) mSv(ミリシーベルト)

 さて、私たち人類は、太古の昔から放射線をかいくぐって生き延びてきました。
そのため、人類のDNAには、損傷を前提とした修復機構が備わっています。
それは、この本の中で「DNAの損傷は、ほとんどが元に戻される」に詳しく書いてあります。
また、放射線や紫外線を大量に浴びてDNAが大きく損傷した場合についても、
細胞には、緊急避難的な機構が備わっています。
「人類の歴史は、放射線とともにある」と言っても過言ではないでしょう。




























































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